香りの散歩道


甘茶

墨絵・朝野泰昌
みなさんは「甘茶」を飲んだことがありますか。
その名の通り、植物の自然な甘みが感じられるお茶です。
今週の土曜日、4月8日の「花まつり」には、このお茶の香りが日本各地に漂うことでしょう。

4月8日は、お釈迦さまの誕生日と伝えられています。
色とりどりの花で飾られたお堂、花御堂(はなみどう)に置かれた、小さなお釈迦さまの像に甘茶をそそぐ「花まつり」。

この仏像は、ルンビニーの花園で生まれたばかりのお釈迦さまが、七歩あるいて天と地を指差し、「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と唱えている姿をかたどったものです。
そのとき、天から甘露(かんろ)の雨が降りそそいだ・・・という言い伝えになぞらえて、仏像に甘茶をそそぐようになったのです。

奈良時代の「花まつり」は、「灌仏会(かんぶつえ)」という呼び名で、甘茶ではなく清らかな香りの水、香水(こうずい)をお釈迦さまの像にそそいでいたそうです。
甘茶を使うようになったのは、江戸時代になってから。
そして、明治時代に「花まつり」という呼び名が生まれ、お釈迦さまの誕生を祝い、子どもたちの健やかな成長を願う行事として、今日(こんにち)まで続いています。

「花まつり」には、参拝者に甘茶をふるまうお寺もあり、これを飲むと無病息災で過ごせる、と言われている縁起物です。
ご縁があれば、いただいてみたいですね。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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